「基準値」正常値ではない

血液検査には基準値というものがあります。この基準値内に入っていると「正常範囲」=「異常なし」と病院の医師は診断します。逆に少しでも基準値から外れていると「要精密検査」と、マニュアル的に検査報告書を作成します。

しかし、この基準値は、検査した人の95%が入るように検査会社が決定したものです。もう少し詳しく言うと、「平均値プラスマイナス標準偏差の2倍」の範囲で設定しています。さらに問題点をあげれば、基準値を決める母集団のすべての人が病気でないとは言い切れません。症状が出ていない未病の人や病気の初期段階の人も含まれている可能性があるのです。範囲が広いうえに、このようなことがあるため、基準値=正常値とは決して言えないのです。

また検査項目の中には、たとえば白血球やALP(肝機能に障害があると数値が上昇する酵素)などのように個人差が大きいものもあります。でも、基準値はこの個人差についても考慮されていません。

たとえば、日本人の成年男子の平均身長はここ数年ほぼ172cmで推移していますが、標準偏差を仮に6として計算すると、「172-6×2=160」「172+6×2=184」ですから、基準値は160~184cmとなります。では、185cm以上の大は日本人の成年男子としては異常でしょうか? かなり背の高い人だと言えるでしょうが、異常であるとは誰も考えないでしょう。

要は、検査する項目によって、基準値内に入っていても異常の場合があるし、基準値から外れていても問題ない場合があるということです。それを見極め、診断するのが、医師が本来行なうべきことです。

しかし、そうするためには、その人の正常値を把握しなければならないので、継続して検査を行なう必要があります。

ある項目で、何度測定してもいつも同じくらい高い値ならば、基準値から外れていても、その人にとってはそれが正常値だということが分かってきます。逆に基準値に大っていても、いつも同じくらいの値が続いていたのが急に高くなったり、低くなったりした場合は、何か身体の中で異変が起きていると考えられます。病気が潜んでいる可能性が高く、精密検査を行なうきっかけになります。

血液検査の結果を分析するうえでは、こうした経時的変化を診ることが非常に重要です。ですからみなさんも、血液検査は1回すれば済むというものではなく、定期的に調べることが大切なのだという認識を持ってほしいと思います。

しかしながら、保険診療で血液検査を行なう場合は、「疑い病名」で1回だけ検査ができたとしても、それを定期的に行なっていると審査で査定されてしまいます。これが病院で未病を見つけられない原因のひとつと言えます。

では、定期的に血液検査を行なうためにはどうしたらいいのでしょう?

保険診療で十分な検査ができない場合は、コストがかかって大変に申し訳ないのですが、自分の健康管理のためと割り切り、自費で検査することをおすすめします。それも、単に基準値と照らし合わせた診断結果を聞かされるのでは無意味ですから、しかるべき診断を行なえる医師を訪ねる必要があります。

そんな期待に十分応えられるのが、血液診断のプロフェッショナル、分子整合栄養医です。

保険診療には細かな決まりごとがありますので、医療機関はその決まりに従って検査・治療を行なわないといけません。しかし分子整合栄養医学では、保険で認められた項目だけではなく、その何倍もの検査を行なわなければ正確な病態把握ができないと考えています。実際に項目を見るとかなり多いと驚かれるでしょうが、いずれも、分子整合栄養医学的診断には欠かせない項目です)。

検査項目が多いだけではありません。検査結果のデータも深く読み込みます。

血液検査項目の多くは酵素を測定するものですが、分子整合栄養医学では表面的な数値だけではなく、そうした酵素の生化学的背景も踏まえて診断します。

一般的な血液検査の項目でみなさんがよくご存知なのは、肝機能を診るGOT(AST)やGPT(ALT)だと思います。たとえばGPTの場合、現代医学では通常、この値が高いと「肝細胞が壊れている=炎症がある」と考えますが、低い場合は気に留めません。値が低いと、「あなたの肝臓は丈夫です」と言う医師もいるくらいです。

しかし、分子整合栄養医は違います。酵素の多くはタン白質でできており、GPTはさらにビタミンB6を補酵素としていますので、この値が低い場合には、医師はタン白質不足、ビタミンB6不足があると診断します。